最近のFPS面白くない問題。”じゃあ昔のやつやればいいじゃん”とふと思い浮かんだのがコレだった。

アーオ。むしろ何故コイツを忘却の彼方へと押しやってたのか不思議で仕方がない。そりゃあよ、FPSと言えばValveなんよ。新作が出ないだけで比類なき存在なのは古のPCゲーマーならば誰もが認めることだろう。完全に忘れていた。
んで久しぶりにやるとまぁ面白いのなんの。未だに一定のアクティブを維持していることがその証左でもあるが、好きな人間は一生やっている類のゲームであることは疑いようもない。比較対象としてはオーバーウォッチになるだろうが、一体何が違うのか。雑に語る。
TF2には明示的なロールがない
OWはセクハラお得意のHoly Trinityが採用されている。TF2にはそういったロールはない……ように見せかけて、最前線で肉壁になるHeavyや、唯一のヒーラーであるMedicがいることから、暗黙のHoly Trinityは存在する。明示的ではないために、12対12の中で編成は完全に自由である。いやまぁ昔のOWも明示的なロールはあれど自由なピックができたのだが。
TF2には明示的なUltがない
そもそもキャラ毎のスキルとかいう概念がない。クラス毎の武器種の差に、当たり判定と移動速度と体力の大小が変わるだけだ。大体クラスが9つしかない。あとは背負ってく武器を変えて味変するだけだ。
わざわざ”明示的”と書いてあるということは、”じゃあ暗黙のUltはあるのか”と思われるかもしれないが、ある。唯一のヒーラーことMedicはヒールしてゲージを溜めると“自身とTether対象を8秒間不死身にする”とかいうイカれた行動が可能になる。しかも即発で阻害不可。こんなもんOWどころかDotaやLoLですら実装されれば瞬時に環境を破壊するポテンシャルがあるのは星を見るよりも明らかだが、他のクラスにはこんなぶっ飛んだ特典は存在しない。”え、じゃあMedic強すぎじゃね?”と思われるかもしれないが、その通りである。よってこのゲームはヒーラーのやり甲斐がとても強い。FF14に飽きたらTF2をやれ。
ロールパワーがIMBAなのっていいの?と思うかもしれないが、それを前提としたTacticsが組めるようになっているのがこのゲームの素晴らしいところだ。MedicのUltは想像の通り信じられないほどの前線突破能力を持つが、であればMedicの数が多ければ多いほどUlt合戦では強くなるがその分平場での火力が落ちるし、MedicのUlt対策としての”ゲージが溜まる前に倒す”はSniperで狙撃したり、さらに射線上に現れないほど後方にいる場合でもStealthができるSpyで背後を刺すことで実現できる。またMedicのUlt中でもノックバックは効くので、ミニガンでMedicを撃ちまくったりロケランでなんとかしてTetherを切って浮いた相方を倒すのも有効だ。バランスなんぞクソ喰らえという大いなる開発の意志を感じるかは人次第だろうが、傾いた天秤には傾いた天秤しか見えない世界があるものだ。
TF2は味方が見えない
はい。これよこれ。”9クラスしかない上にマップも狭いこのゲームに深みあんの?”という疑問を覆す現代のFPSが忘れた究極の要素。昨今のFPSの多くには”味方の位置を容易に掌握できるための何か”が用意されている。代表的なのは壁越しに味方の姿が見えるものだが、これは私の経験ではLeft 4 deadが初出である。

お前もValve製やんけ。というツッコミは読者に任せるとして、最早昨今のFPSはこういった味方の挙動掌握をサポートする機能まみれである。だがTF2にはこういった機能はない。付け加えるならば、同じくValve作の最新のCS2はともかくちょっと昔のCS:GOにも同等の機能はなかった。これほど画期的な機能を作ったのにも関わらずと評すればいいのか、PvEのL4Dにはこの機能があり、PvPのTF2,CS:GOにはこの機能がないことから、ValveはPvPに味方視認機能は不要と考えている(いた)ことが察せられる。

そしてそれは英断だったと今更ながらに実感している。味方が見えないと一気にゲームの深みが増すからだ。例えばMedicをやっていて、画面上に何人いるから他のどこに何人いるかを推察することを強要されたりすることもそうだが、“押し引きの意思決定がべらぼうに高度になる”ことが肝要だ。
これは、それこそOWにおける”タンクが前に出たから合わせよう”といった味方への迎合が、味方が見えないTF2ではしづらいことを考えれば分かりやすい。どこに何人いるのかがパッと見掴みづらいということは、即ち戦線において味方/敵のどちらが有利なのかの状況判断が困難であることに繋がり、そしてそれは状況を掌握した上で適切にInitiateする意思決定の価値がもの凄く高いことに帰結する。
TF2の面白さは先述の天秤の傾きと、味方が見えない2点によって支えられると言い切っていいだろう。クラスの種類やマップの広さなんざ関係ねえ、といった理念も含めて現代FPSとは対極にいる設計だろうと思うが、かくいう老害の私はValveの方が好きである。とっつきやすく、深い。これに勝るものがあるだろうか。

ちなみに余談であるが、今はリスポーン直後で壁越しに味方が見える。しばらくすると見えなくなるが、これはリスポーン直後のどこの戦線に行くべきかを判断する猶予を与える設計と捉えられる。昔はこんなんなかった記憶があるのだが。
TF2にはシコキャラがいない
いない。戦場に必要なのは”Need a Medic!”の叫び声だけであって、女のけたたましい金切り声ではない。
これを前時代的と捉えるか、あるいは”ポリコレ的にどうなの”と思うかは人次第だが、そこは天下のValve様であって対策も完璧である。

この放火魔、なんと性別不明である。つまり実はシコキャラがいるかもしれないし、LGBTQもカバー済である可能性がある。流石はValve様、未来が視えている。
あと久々に触って驚いたのが、古き良き(悪き?)ゴア表現があることだ。血はドバドバ出るし、ロケランが当たれば四肢が飛散する。そう考えればシコキャラまみれでゴアいFPSがないのは不思議でもある。バラバラになるんだったら美少女のほうが高まるだろうし、独立を果たしたおっぺえが坂をぽいんぽいんと跳ね下っていくサマを見るのはさぞ壮観だろうと思うのだが、需要がないのだろうか。
はい。ということで時代はTF2である。カジュアルに楽しむならばこれほど優れたFPSはないのを久しぶりに思い出したし、人もいて未だに爆速でマッチするのは恐れを抱くほどでもある。Medicが自分一人しかいない最中、Medicコールが死ぬほど飛んできてブチ切れながらクラスを変えた結果、自分も含めてMedicコールをしまくるがMedicがいないというカスのような地獄をケラケラ笑いながら楽しめるゲームは昨今そうはないだろう。やはり時の試練に耐えたゲームはそれなりの理由があるものだ。






 
			 
			