基本システムの解説が終わったので、次は”FF14のレイドって何するゲームなのか”を明瞭にするためにレイドをいくつかのミクロ/マクロ領域で分割することにします。拙作“ミクロ”と”マクロ”を読んでいることが前提です。読んでいないとそもそもタイトルからして意味不明になるのでまだ見ていない方は目を通しておいてください。
普通は簡単な内容から難しい内容へ、小さいものから大きいものについて語る方が分かりやすいとは思いますが、敢えて逆を行きます。強いマクロの方から説明していきます。
まず前提として、FF14のレイドは”強いマクロ Lv3″までが求められます。
レイドは自身と他7名でボスを倒すコンテンツです。であるならばレイドというのはあくまで全員味方のPvEという体裁になっているわけですが、実際は強いマクロに分類されるような”味方と敵が変動する”ようなことが起こり得ます。
ウルトラ分かりやすい例を載せてみました。実際野良ではこのような”敵化する”リスクを排除するために極力指摘をしない文化があります。どこの馬の骨とも知れない者のためにリスクを負ってまで何かを伝える必要はないだろうという判断ですね。素晴らしい文化です。通報されるリスクを犯してまで進言するよりも、ギブアップ投票を出すほうが早く安全であるのはまさしくレイドがLv3の強いマクロを要求することの証左でしょう。
このようなLv3マクロが求められるという構造は野良だけでなく、固定でも同様です。
むしろ固定の方が顕著にLv3マクロの特徴が出てきます。
図として書いてみましょう。
これまた目標がド明瞭な攻略固定ですね。
そして分かりやすく固定が危機に瀕する時というのは、”目標が達成できない時”になります。
つまり4週かかっても踏破出来なかった場合どうなるのか、継続するのか解散するのか、抜けたい人だけ抜けてその穴を再募集するのかという決断を迫られるわけです。
そして固定を継続するかは、上図のように個人で賛同する人とそうでない人に分かれるでしょう。ここでは3つの賛同しない理由を挙げてみました。単純な性格によって、コミュニケーションが合わないと感じる要因があった、現実のライフスタイルとの折り合いがつかない、の3つです。
固定活動においては、何事もなく目標が達成された場合は特に気にする必要もないでしょうけれども、
・目標が達成できなかった或いはできないと予測されるような状況
・採用する処理法など攻略における考え方の違いが露呈
・人間的な不和
といった”何らかの折り合いをつけなければいけない状況”というのは少なからず起こり得ますし、えらいことになった固定もしばしばSNSで散見されます。そのような意識のすれ違いを防ぐために、特に経験が深く理知的なリーダーが固定を率いている場合は、攻略目標週以外にも”攻略できなかった場合の対処をどうするか”、”問題があった時の解決法はどうするか”などの認識を事前に固定内で擦り合わせるでしょう。
結局固定活動という名のレイドは、”擦り合わされた全員の共通認識”と”各人の人間としての総力”が試されるわけです。以下のように。
特に個人の総力というのは、私は4つのパーツに分解できると考えています。
・プレイヤースキル
FF14におけるミクロ、スキル回しを考える弱いマクロ、8人全体の動きを掌握する弱いマクロLv2まで。
固定としてプレイヤースキルの平均が高ければ高いほど目標を達成できる可能性が高まります。
・知性(折衝能力)
知性という言葉で包括していいか分かりませんが、一般的にはコミュニケーション能力だと捉えていいでしょう。
ともすればそれは”固定を楽しく遊べるか”どうかに繋がりそうな能力ですが、コミュニケーション能力の本懐というものは“問題が発生した時に建設的な議論ができるか/する姿勢になれるか”というところにあります。つまりコミュニケーションの真価が問われるのは”ダメだった時”になるわけです。
・性格
これは単純に人間として合うか合わないか、遊んでいて楽しいと思うかどうかに影響を及ぼす内容でしょう。
ただし、ダメだった時に少なからず影響を及ぼすこともあります。シビアな性格の人が多い固定と、おおらかな性格の人が多い固定それぞれがダメだった時にどうなるかを想像すれば分かりやすいでしょう。
・ライフスタイル
ライフスタイルは、”安定した固定活動ができるか”という点で重要です。
不定期に休まざるを得ない人がいるとして、その人を固定に入れるのを許容できるか/できないかというのは、目標とする攻略週や他の人のライフスタイルの余裕も鑑みて決定する内容でしょう。無論全員余裕がある方が望ましいです。
8人全員でこれらの能力を駆使して戦うのがFF14のレイドです。
特にただ回しを考えてボタンを押すだけとは一線を画す内部折衝が必要になるというのが大きな特徴ですね。そこで強いマクロへの理解が必要になるわけですが、その話はまた別稿で語ることにします。
とりあえず今の段階では、“このような内部折衝が必要な環境で最善を尽くさなければならない”ということだけ理解しておきましょう。