ゲームを遊ぶ際、“で、このゲーム何するゲームなの?”という命題を如何に早く、正確に把握することは重要だ。
それは自身のゲームの飲み込みの早さにも直結するし、他者のゲームプレイを見る時の解釈の粒度にも影響するからだ。FF14に全く詳しくない時分にレイドの動画を見ても”何してるか良く分かんない”と思うかどうかは人次第だろうが、練度に応じて動画を見る時の観点が異なることは容易に分かるだろう。
ということで色々なゲームをどう”噛み砕く”べきかを考えてみよう。厳密に書いていくとこれまた膨大な量になるので本稿では超ざっくりと書いていく。
FF14 PvP
まずは超簡単な例から挙げてみよう。FF14のPvPでことクリコンに関しては完全情報ゲームである。と書いてしまうとどこからともなくゲーム理論の達人が現れて強烈なツッコミを入れられそうだが、”360度視界を網羅する十分な広さのモニタを使わない奴が悪い”という謎の言い訳をしつつ、ここの読者であればいい感じに完全情報/不完全情報をそれっぽく解釈してくれるつもりで本用語を使っていく。そしてFF14のPvPは以下の要素で成り立つ。
・装備やステータスによって個人の性能が変化することはない
・複数のジョブから任意のジョブを選択する。誰がどのジョブかは一目で分かる
・各ジョブで利用できるスキルは完全に固定されている
LBという要素に関しては大規模戦闘では他者のLBゲージは見えないが、クリコンでは見える。つまり、私の持っているリソースは敵も理解しているし、敵の持っているリソースは私も理解している。全てのリソースが共通知識として浸透している前提の上で、どう意思決定をしていくかを問われるゲームであると解釈することができる。
これはPvPの設計としては極めてシンプルだ。シンプルすぎて1対1がコンテンツとしては単調にすぎるがために、クリコンやゴージ、FLといった多対多を基本としたゲームモードごとにユニークなルールを付与することでPvPを成り立たせる設計方針なんだなと捉えることができる。
そしてPvPを成り立たせるためのダメージ減衰やCC解除といった防御択はちゃんと用意されている。自分のカードと相手のカードを鑑みて、“敵が通したがっている連携をどう防御するか”、”こちらが通したい連携をどう通すか”という読み合いを組み立てて自分が生き、敵を倒すことを実現するのが基礎中の基礎だということが分かる。
Guild Wars 2
MMORPGの中でもまずPvPありきで設計されているGW2はFF14とは対極のゲームである。
・装備やステータスによって個人の性能が変化する
・装備する武器によって使用できる技が異なる
・武器は”表”と”裏”の2つ分所持が可能であり、戦闘中に任意に変更できる
・複数のクラスから任意のクラスを選択する。誰がどのクラスかはターゲットすれば分かる
・クラスごとに設定された複数の技から、一部の技を選択する
・選択式のパッシブツリー(トレイト)から任意のパッシブを選択する
こういった特徴があるために、まず戦闘に赴く前にビルドを組むという概念がある。そしてそのビルドの数は尋常ではない程多岐に渡る。LoLやDota 2といったMOBAを最初に触った人がそのキャラの多さを見て”全キャラを理解しないとまず土俵に立てないじゃん”と悟った時に”その通りです”という正論を周囲の人がしてくれるかは不明だが、GW2の場合は”全てのビルドのメタを把握しないと駄目じゃん”と思った人がいれば十中八九分かってる人間は”んなもん無理”と言うだろう。余りにもビルドの幅が広すぎるためにその全てを掌握することは現実的ではない。
であればどう戦うのかというと、戦いながら敵のビルドの方向性を推し量るのだ。やってることはFF14と同じ”敵が通したがっている連携をどう防御するか”、”こちらが通したい連携をどう通すか”に帰結するわけだが、そこに至るまでに“最初は不明な敵のカードを、戦いながら明らかにしていく”という過程が追加される。
もう少し深堀りすると、対人戦闘の基本というのは”自分のカードと敵のカードを鑑みて意思決定する”ことであり、それは即ち”全てのカードを掌握する”という作業が必須となるわけだが、GW2の開発は”全てのカードを把握しきれない程膨大にする”という方針をとることで、”事前にカードを網羅することを対人戦闘の根幹に据えない”という理念を実現していると解釈することができる。
Quake Champions
色々なゲームを噛み砕くと銘打ったので色々なジャンルを跨いでいこう。アリーナFPSに分類される滅びの一途を辿っているQuakeの話だ。Quakeは古き良きスポーツ系FPS(死語)の流れを汲む、以下のような特徴がある。
・リコイル(銃撃った時に反動で照準がブレるアレ)がない
・ヘッドショットがない
厳密に言うとヘッドショットをすると心地のいい”Headshot…”のボイスが流れるが、ダメージは変わらない。これだけ見ると昨今流行っているFPS達と比較してスキルキャップは低そうに見える。”より早く、より正確に弾を当てる”という敵と同じ条件でしのぎを削るのであれば、結局プレイヤースキル自体は高ければ高いほうがいいに決まってはいるのだが、それでも頭部を狙わないといけないというシビアなミクロ要求と、リコイルコントロールとかいうクソ程退屈な要素がないだけでも”快適さ”は雲泥の差である。
ではこのゲームは簡単なのか。上記動画を見てこのゲームが何するゲームなのかをパッと分かるのであれば、私があれこれ語る必要もないだろう。このゲームは以下の要素があるために恐ろしく底が深い。
・キャラクターはそれぞれ異なった体力、移動速度、スキルを持つ
・マップの要所に武器が配置されている
・マップの要所に体力/アーマー回復アイテムが配置されている
・マップの要所に1分でリスポーンする体力/アーマーの最大値上限を突破して回復するアイテムが配置されている
初期銃は弱いのでまず武器を集めるために動き回るのが必須である。そして重要となるのは最後に記載した通称”メガ”と呼ばれる回復アイテムだ。
敵と相対する時に、体力/アーマーはより多いほうがいい。互いに与えるDPSが同等であれば体力/アーマーが多いほうが勝つのは自明なことであり、それゆえに”メガ”の取り合いが立ち回り/読み合いの基盤を担う。
興味深い点は、このゲームはMOBA的な成長要素が特段ないにも関わらず、”スケーリング”の概念が存在することだ。勝っている側はより多くの武器と弾薬を確保し、メガを取得し、良い立ち位置を確保できる。負けている側は武器の収集からやり直さないとならず、勝っている側と比較して厳しい状況に置かれる。まぁこれは”スケーリング”と呼ぶよりは天秤の傾きと表する方が適切なのかもしれない。何れにせよ重要なのは、“勝っている側には勝っている側の、負けている側は負けている側の戦術が必要となる”という点だろう。
Quake Championsを遊ぶと、もしくは動画を見ると結構な頻度で”一方的な展開”を見る。それは天秤が傾いたまま揺るがなかったためにそう見えるわけだが、これをプレイヤーの実力に傾きがあるからそうなったと解釈するべきではない。ただ天秤の駆け引きの結果そうなっただけだ。
この天秤の傾きは勝っている方の一度のデスでひっくり返る。針に糸を通すような一撃を負けている側がどう刺すか、勝っている側は如何に盤石な位置を確保し続けるか、そのために最上位層であればリスポーン地点の予測から敵の立ち位置と”敵はどう動きたいのか”まで読んだ上で立ち回り、最終的に撃ち合いに帰結する。そこまで理解すれば上記動画の見方も変わるはずである。
私はこういった浅く遊んでいても楽しさのエッセンスを十分に享受でき、尚且つ底が深いゲームを優れたゲームだと考えている。このゲームはとにかく撃ち合いが楽しい。引き金を引いて弾が当たった爽快感は昨今の他のFPSとは比べるべくもない。アーマーを割る気持ち良さがあるApexはともかく、Valorantなんぞはガストのコッペパンぐらい不味い。よく皆食えるものだと関心するレベルである。
ただQuakeに関しては”ValorantとQuakeどっちがオフパコできるか”という命題を出されると終わる。とあるEVE Onlineプレイヤーの至言のうちの1つに、”PvPが好きと言ってる奴の99%は樽の中で泳ぐ魚を狩りたいだけだ”というものがあるが、実際に樽の中を覗いてみるとそこでは魚が乱痴気騒ぎをしており、樽から目を離すと馬と鹿が交尾をしている地獄が広がっている。
最後に、マップと武器を良く見てみると良い。不要な武器は一切なく、”あたかも武器の種類がいっぱいあることを面白さの1つだと思わせる”ためだけの下位互換の武器も存在しない。そして一度フリーランすれば覚えられ、かつ複数の動線が緻密に確保されているマップ。これらがどれだけ洗練されているかは実際に触れば直ぐに分かるだろう。
このQuake Championsも2024年はプロリーグがなくなってしまった。Stellaris Nexusに並んで良いゲームが日の目を見るわけではないという例の最たるものだと個人的には認識している。悲しいことだ。
怒首領蜂大往生
シューティングつながり、そして前回話題に挙げたのもあって大往生についても語っておこう。
通称縦シューといえば、攻撃のショットと、弾消し兼大ダメージのボム、移動(高速移動/低速移動)によって構成されるこれもまたシンプルで完成されたジャンルのゲームである。
上記基本システムに加えて、大往生で特筆すべきはハイパーの存在である。
ゲージを溜めて得られるハイパーアイテムを取得して放てるハイパーは、以下の特徴を持つ。
・使用時はボムのような無敵時間が得られる
・ショットの威力が大幅に上がる(連射数が大幅に伸びる)
・結果として大量のコンボ数を稼げる
・ハイパー中は敵弾の速度が大幅に上昇する
・同時に”ランク”が上昇し、恒常的に敵弾の速度が上昇する
・ボムとハイパーを同時に所持している場合、ハイパーが優先して使用される
肝となるのはハイパー中は敵の弾速が加速し、またハイパー終了後も”ランク”の上昇によって恒常的に敵の弾速が加速するということだ。ハイパーは強力な攻撃の選択肢でもあるがリスクを背負うことにもなる、大きなリスクリターンが共存する選択肢なのである。
なのでハイパーをどのように運用するべきかというのがどのプレイヤーも避けては通れない命題となる。元々弾幕が厚く、弾速も早い大往生で不用意にランクを上げてしまうと一般人には到底処理が追いつかない速度まで弾速が速くなってしまうため、1クレ1周クリア目標で安定したパターンを構築したい場合はハイパーアイテムを意図的に取得しないという選択肢が取れるほどにハイパーのリスクは大きい。
そして大往生が極めて優れている点は、ハイパーを加味したパターン構築で多彩なルートがあることだ。ボムやハイパー以外にも大型の敵を倒した時に画面の弾が全て消えるなど弾消しを利用できる場面があるが、それらも含めて”どうパターンを組めばより安全に勝てるか”ということを机上で考えた時に多様なルートを選択できるようになっている。先の紹介した獣道の動画ですら、競技者2名はそれぞれ別のパターンを利用していることからその片鱗が分かるだろう。これは意図してそうなっているのかは定かではないが、卓越した開発の妙を感じざるを得ない。そしてそれこそが大往生が名作と言われ未だに遊ばれている所以である。
そしてこれを“弾消しを利用してパターンを構築できるシューティングがいいゲーム”と解釈するべきではない。後続のシューティングでこういった理念のもとに弾幕の緩急を表現しているゲームが散見されるが、究極を探求した時にたった1つのパターンに絞られるゲームは良いシューティングとは言えない。それは開発者の力量の限界が垣間見える瞬間なのだろうが、単一のパターンに絞られるゲームは思考の幅を狭くするのみならず、失敗したときのリカバリーが”どのように同じレールに戻すか”が問われるだけになりがちだ。大往生の場合、多様な構築されたパターンから派生するリカバリープランも多岐に渡り、時にはアドリブで何とかせざるを得ない場面によく相対する。このような場面に相対できるゲームが良いシューティングだ。
リスクリターンが共存する選択肢があること、それをどう使うかの余地が多岐に渡る開発の懐の広さがあること、これを体現しているのが大往生であり、シューティングを触ってみるときは同様の観点で考えながらプレイし、パターンを構築していくとそのゲームの底の深さを推し量りながら、シューティングそのものをより楽しむことができるだろう。
Starcraft 2
やれやれ、RTSの時間である。
リアルタイムストラテジーというものを考えるときには、ストラテジー(戦略)とは何なのかということに対しての知見があったほうが望ましい。戦術と戦略の定義は人によって変わるだろうが、本稿ではクラウゼヴィッツ御大から引用しよう。
戦略 : 政治目的を実現させるために、個々の戦いを統率すること
戦術 : それぞれの配慮で個々の戦いを遂行させること
こと戦略において重要なのは政治目的を実現させるためという箇所である。本稿ではさらに戦略を以下にように”弱い戦略”、”強い戦略”に分類する。これはあくまで私が提唱する尺度に過ぎないので、決して”いわゆる”とかつけて流布しないように。ハハ。
弱い戦略 : 単一の政治目的を実現させるために、個々の戦いを統率すること
強い戦略 : 複数のうちから単一の政治目的を選択し、その政治目的を実現させるために、個々の戦いを統率すること
この弱い強いという言葉は優越を指すのではなく、あくまで抽象度の弱い強いと解釈すれば分かりやすい。
何故このような分類を用いているかと言うと、RTSと4Xに代表されるグランドストラテジーを区別するためである。
多くのRTSの目的は”敵を殲滅する”という単一の政治目的に集約される。そして”敵を殲滅する”という大目標を達成するために、”内政”と”軍事”の天秤を量り続けるというのが、弱い戦略が問われるRTSで考えるべきことだ。”内政”、”軍事”を大きな枝葉として、さらにそこから細かい戦術に枝葉が派生するゲームであると解釈すれば、自身が何をすべきかの大枠を掴むことができるだろう。
さらにRTSがタフであるところは、”不完全情報を明らかにしなければならない強度が高い”ことにある。
全く視界も取らずに自陣の内政だけに注力したところで、敵の内政と軍事の天秤の状況、敵がなにをしたいのかを察することは全く持って不可能である。であれば偵察だったり主力のラインを上げて敵陣営の状況を把握する必要があるが、どうあっても敵の情報全てを把握することはできない。つまり偵察から得られる一部の情報を頼りに敵の思惑を把握しそれに勝てる選択肢を用意していくわけだが、敵も同様にこちらを偵察しておりこちらの思惑に合わせてくる──というLevel K thinkng warを繰り返すというのがRTSの本質だ。
だからRTSは難しい。そもそも要求されるミクロ強度が高いというのもあるが、マクロないし戦略に対して求められる理解もFF14 PvPやGW2とは雲泥の差がある。戦略を考えなければならないゲームはそもそも設計が難しいのだろうが、未だにAoE2やSC2を凌駕するRTSが登場しないことも、RTSというジャンルの底の深さを表しているのだろう。
しかしこの戦場に身を置きたければやることはシンプルでもある。まず要求される最低水準のミクロを満たすこと。敵の情報を知らない前提で取れるある程度の種類の戦略を確立すること。敵の情報を知るための行動を起こす方法/タイミングを理解すること。敵を知った後の行動方針を策定すること。これらを整備して実践していけば、自然と上達していくだろう。
なおLoLやDota 2に代表されるMOBAも弱い戦略が問われるゲームだと解釈することができる。”Nexus/Ancientを破壊する”という代替のない大目標が存在し、そこから”内政(ファーム)”と”軍事(キルプレイ/オブジェクト奪取)”に派生していると考えれば、MOBAで何をするべきかの指針を整理することができるはずだ。
……なんかRTSというジャンルの話をしているだけであって、SC2のユニークな話が全くできていない気がするが、まぁいいや。真面目にRTSをやりたければSC2がオススメですとだけ言っておこう。
Civilization IV
では、強い戦略のゲームの話だ。4Xから代表してCiv IVについて語ろう。
私の尺度に準ずると、グランドストラテジーはRTSよりも抽象度が高い。それは即ち大目標が複数存在し、プレイヤーは任意の政治目的を設定できるようになっている。
Civ IVでは時間/制覇/征服/文化/宇宙/外交といった多様な勝利条件が存在する。1ターン目から◯◯勝利を目指そうと目標設定をすること自体も遊び方の1つではあるが、普通に勝とうと思った場合はある程度世界の全容が明らかになって、自文明の状態と鑑みてどの勝利条件──つまりは政治目的を設定して勝利を目指すかを決定しなくてはならない。
強い戦略が求められるゲームの出来はある意味容易に判断することができる。複数の政治目的間のバランスが良く、どの政治目的も選択する余地があることが設計の良い/悪いに直結するのだ。
Civ V無印はそれはもうひどいゲームであった。騎乗ユニットが野戦でも攻城でも強いということもあり、最高難易度ですらただ勝ちたければ”アレクサンドロスを選んで、最序盤から世界が終わるまで馬を出せば勝てる”というゲームバランスになっていた。無論これはストラテジーとしては終わっている。
Civ VIも似たようなものである。Civ VIは文明/指導者特性が尖りすぎていて、勝利条件が特定のものに強く縛られることがままある。そして内政に対して区画ゲーという強力な支配戦略が存在するために、出来の悪いセールスマン巡回問題を延々とやらされるだけのゲームだ。ストラテジーをやってる気になるゲームというのが私がCiv VIへの総評になるが、セールス的には残念ながら成功している。どうせCiv VIIも同様の方針になるだろうというのは、私の諦観である。
Civ IVがまさに名作といわれる所以は、このバランスが優れていることにが大きな要因の1つだが(文化勝利はちょっと弱いが)、逆に言えばグランドストラテジーを遊ぶ時はこのような大目標となる政治目的のバランスがどうかを見ることが重要となる。勝利条件の中に突出して達成しやすいものがあるのであれば、難易度を最大にしてただただ勝ち筋をなぞった作業ゲーを通して、開発やる気あんのかと思いながら”これはストラテジーではない”とXでドヤるだけで良い。
無論わざわざ自分で縛りを付与して出来の悪い砂場で遊ぶのも一興であるが、強い戦略が破綻していて弱い戦略しか楽しめないグランドストラテジーは存在価値がないと私は思っている。何故なら弱い戦略を楽しみたかったら先述したRTSやMOBAを遊べばいいからだ。AoE2もSC2もLoLもDotaもなんだかんだ恐ろしく枯れたゲームであるので、出来の悪いグランドストラテジーより遥かに洗練されていることが大きな理由だ。
Stellaris Nexus
最後に、強い戦略のゲームにおいて新境地を切り開いたゲームの話をしよう。
ミクロに依存しないマクロ、戦略を楽しみたい人間が行き着く先はボードゲームである。そこには操作量も反射神経も必要のない、純粋な意思決定を楽しめる土俵が存在する。
一方でボードゲームには……特にアナログのボードゲームには、ほぼほぼ避けては通れない大きな壁がある。
それはターンの非対称性、1対1で考えると先攻後攻の区別が必ず存在するという事実である。
先攻後攻が分かれているゲームは公平さを完璧に担保することはできない。囲碁のコミなどはその筆頭だろうが、どれだけ丁寧に設計して勝率が5分になっていたとしても、個人的にはちょっと……とどうしても引っかかってしまう。
それを解消したのがStellaris Nexusだ。このゲームはターン制にも関わらず、先攻後攻といった概念が存在せず全プレイヤーの全ての行動が同時に処理されるというターンの対称性を完璧に確保している。
このゲームがどれだけ先鋭的なことをしているかはもうこの説明で十分だろう。
そしてこのゲームは人類には早すぎた。野良には誰もいない。このゲームを6人で遊べる同輩達がいる者は、世界で最もストラテジーを楽しんでいる人間達なのだろうと私には羨ましくて仕方がない。
ざっくりと書いたつもりがそれなりの分量になってしまった。……EVE Onlineの話はどこに行ってしまったのだろうか。まぁまた別の機会にでも書くことにしよう。