MENU

2 : 初日

<登場人物紹介>

■白ちゃん
その辺にいそうな白魔道士。
グラフィックアップデートや二箇所染色でテンションが上がっている。

■学ちゃん
その辺にいそうな学者。
なんだかんだ白ちゃんと5絶踏破した。

■占ちゃん
しばらく音沙汰がなかったが暁月終盤から帰ってきた占星術師のような何か。
賢ちゃんと仲が良い。

■賢ちゃん
DPSメインだったが占ちゃんに誘われてヒーラーをやることになった賢者のような何か。
火力への意識が高い。

■占様
全てのジョブを出せる。


「占様」
「やぁ、占ちゃん」
「アレキの時は色々ありがとうございました。──どうしたんですか。シャーレアンから出ないんですか?」
「ああ。しばらくここにいるよ」
「へぇ……てっきりもう全スキップで進みまくってるのかと」
「ふふ。まぁあながち間違いではないな」
「?じゃあ私先に行っちゃいますね」
「ああ。いい旅を」


「占様」
「やぁ、賢ちゃん」
「どうしたんですかこんな所につっ立って。──ははぁ、さてはHUDの調整ですね?」
「そうかもね。賢ちゃんは新ジョブ使うの?」
「占ちゃんがヒラ出すらしいですし、ヴァイパー触ろうかなぁと」
「いいね」
「しかし占ちゃん遅いなぁ……一緒にメインやろうって話をしてたんですけど。どこにいるんだろう」
「……」


「占様」
「やぁ、学ちゃん」
「一服でもしてるんですか」
「今のところ一番的を射ているな。流石だね」
「はい?」
「ああいや、こっちの話」
「よくわからないですけど……占様ってストーリー見るんですか」
「見ないなぁ。私は”私のストーリー”にしか興味がないからね」
「また含みのある……どういうことか聞いてもいいですか」
「大した話じゃないよ。それより私の雑談なんかに時間を割いていいのかい。折角の拡張実装直後なのに」
「いいですよ。白ちゃんが慌ただしくしていてそれを待たないといけないので」
「?ならまぁいいか。──この光景が好きなんだよ」


「ストーリーの表現の仕方はゲームによって異なるのは想像つくよね。特に大きな分類としては”PC主導”か”NPC主導か”という分け方がある」
「14は、後者ですよね」
「ああ。そして私はNPC主導のストーリーには興味がない」
「……ストーリーを見ない理由は分かりましたが、”私のストーリー”にしか興味がないというのは?」
「自分が見たもの、体験した私の旅だけが、私のストーリーになると考えているだけだよ」
「どういう意味か、あんまりピンと来てないです」
「例えば、街にいる人の隆盛とか──学ちゃんって14いつから始めたんだっけ」
「漆黒です。5.1ぐらいだったはずです」
「その時のクリスタリウムと、今のクリスタリウムは同じかい」
「全然違うでしょう。今はもう全然人いませんよ」
「つまり当時のクリスタリウムの賑やかさは今となっては最早知りようがないわけだ」
「ええ、そうですね」
「そういうものが好きなんだよ。その時にいないと知り得ないもの。旅をし続けることでしか分からない体験。それを噛み締めることが私にとっては重要なんだよ」
「なるほど──だからまだ”ここに”いるんですね」
「ああ。シャーレアン最後の賑やかさを目に焼き付けてるんだよ。暁月の思い出と共にね」


「へぇ……ちょっと驚きました。占様でもそういうセンチメンタルな所があるとは」
「まぁ、戦う根源も”体験”を求めているからであってそれに付随していると考えれば腑に落ちやすいと思う」
「確かに。早期攻略とかですか」
「それもそうだし、拡張直後のメイン走ってる時の初見しかいないIDとかでも同じだね」
「その時にしか得られない経験、ですか」
「ああ。なんとなく分かったかな、”私のストーリー”が大事だという意味が」
「ええ、お話ありがとうございました。──まだまだ人は減りませんね」
「そうだね……ってあれ白ちゃんじゃない?」
「ほんとだ。おーい」


「こんばんは!占様!学ちゃん!」
「やぁ、白ちゃん。──何してるの?」
「そりゃあもう染色ですよ!見てくださいこのミラプリ!自機もさらに可愛くなってミラプリで一生遊べそうなんですよ~!メインクエスト進めてる場合じゃない──って占様もまだここにいるってことはミラプリ練ってるんですよね?流石ですね!」
「……」
「占様、これも”体験”ですか?」
「……さぁて、シャーレアン出るかぁ」
「占様このミラプリはどうですか!ってどこ行くんですか!どっちのピンクがいいかだけ見てくださいよ!!ねえ!!!!」