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Weaving, Clipping

前回、魔法とアビリティの性質を明らかにしました。
ではこれらをどう使い分けるのかが本稿の主題です。

アビリティは長い個別のリキャストタイムか、MPほど潤沢ではない何かのリソースを消費する特徴があります。
つまりアビリティだけを連打してもすぐ息切れしてしまい、それだけで戦闘はまともに完結しないというのは、高難易度レイドに行ったことがない方でも薄っすら理解できるでしょう。であれば基本的にはMPを消費する魔法を使い、アビリティは必要に応じて使うのだ、ということも。

ここで一つ、
“アビリティを使うべきタイミング、使うべきではないタイミングはあるのだろうか?”
と疑問に思ったとしましょう。

“基本的に魔法を使うべき”という理念のもと、適当にグレアガでも連打している状況を考えてみます。
2.5秒周期でグレアガを詠唱し、1.5秒のキャストタイム後に光が敵に飛んでいくような状況です。
この状況で”アビリティをいつ使うべきか”を考えると……”別にいつでも使っていいんじゃないの”と思われるかもしれません。なんせアビリティはキャストタイムがInstantだからです。詠唱不要で即時発動するんだから、好きなタイミングで使っていいでしょう、と。

そのような考えのもとグレアガの後にベネテトラベニゾンなど、2つ以上のアビリティを投げまくると次のグレアガの詠唱開始が遅れることに気づくでしょう。2.5秒周期で綺麗に詠唱が回っていたものが、明らかな硬直とともに詠唱開始が遅れているぞ、と。何故このようなことになるかと言うと、各アビリティには使用した際に硬直が発生するためです。

ちゃんと書くと、
・各アビリティ使用後に、個別の硬直が発生する(大体は0.6~0.7秒)
・硬直の時間はプレイヤーの環境によって変動する(PCスペック、ネットワーク環境)
となります。

グレアガの間に1つのアビリティを入れた際は、
グレアガ(硬直 = キャスト1.5秒) → アビリティ(Instant発動後、硬直0.6~0.7秒) → 次のグレアガ ……
とグレアガ + 1アビリティの総硬直が2.5秒より少ないため、滞り無く次のグレアガの詠唱に入ることができます。

一方でグレアガ間に2つのアビリティを入れた際は、グレアガ + 2アビリティの硬直が2.5秒を超えるため、2.5秒をオーバーした時間だけ次のグレアガの詠唱が遅れます。

このアビリティの硬直過多によって次の魔法詠唱が遅れることをClippingと呼びます。
“GCDが噛む”
とも言われますね。

Clippingが多ければ多いほどその分魔法の詠唱回数が減るために、一般的にClippingは起こすべきではありません。
では各魔法についてアビリティをどう挟むことが許容されるのかを考えていきましょう。

・キャストタイムが2.5秒の魔法
暁月ではキャストタイムがリキャストタイムと同じ魔法は最早白のホーリガだけになりました。
ホーリガはキャスト時間中全体が硬直となるために、ホーリガ後にアビリティを使用すると、そのアビリティの硬直分だけまるまる次の魔法の詠唱が遅れることになります。そのためホーリガ後のアビリティ使用は最も避けるべき状況です。

・キャストタイムが2.0秒の魔法
白でMPを消費するケアル以外の回復魔法、学者の士気や鼓舞が該当します。
アビリティの硬直は一般的に0.6秒~であるため、これらの魔法後にアビリティを使用するとホーリガ後ほどではありませんが、少なからず次の魔法詠唱が遅れます。ですのでこれらの魔法後にもアビリティは極力使うべきではありません。

・キャストタイムが1.5秒の魔法
ヒーラーの基本攻撃魔法(グレアガ/Fマレフィク/極炎法/ドシスⅢ)、白のケアル、学者のフィジク、占星の回復魔法全般などが該当します。
先述したグレアガでの説明の通り、アビリティ1つであればClippingが発生しません。まずは基本攻撃魔法の合間にアビリティを入れる練習をするのが初学者ヒーラーが通る道になるでしょう。

・キャストタイムが1.0秒の魔法
エスナです。多少シビアですが、アビリティ2つをClippingなしで使用できます。

・キャストタイムがInstantの魔法
“Instant GCDだと2.5秒分丸々アビリティに使えるから、3つまでOKじゃないの?”と思われるかもしれませんが、Instant GCDそのものにもアビリティと同様の硬直が発生するので、”現実的に”Clippingなしで入れられるアビリティは2つまでとなります。

以上が、一般的に“基本は1アビ、Instantの後は2アビ”と言われるアビリティの入れ方の所以になるわけですが、少しだけ突っ込んだ話をしておきましょう。さきほど各アビリティ使用後に、”個別の”硬直が発生すると書きました。つまりInstant GCDも含めた各アビリティは硬直時間がそれぞれの技によって分かれています。であるならば、“硬直の短い技を組み合わせたら、ClippingなしでInstant GCD後に3アビ入るのでは?”と疑問を呈することもできるわけです。

結論を言うと、“ClippingなしでInstant GCD後に3アビ入れるのは可能”です。
私の知る限り最も短いInstant GCD + 3アビの総硬直は2.49秒になるので、GCD周期が2.49~2.5秒が最終装備のジョブなどはClippingなしの3アビを普通に狙えたりします。しかし一般的にヒーラーの最終装備が2.49~2.5秒になることはほぼないので、ヒーラーには関係のない話になるでしょう。現実的に使用可能なのはタンクかDPSであり、私のフレンドは暗黒で、私は漆黒詩人で実際に3アビ運用をしていました。まぁこれは凄い高みにたどり着いてから考えればいいと思います。

ちなみに、GCD間にClippingなしで1アビ入れることをSingle Weave, 2アビ入れることをDouble Weaveと言ったりします。日本圏ではあまり見ませんが、The Balanceなど海外の情報を見た時に出てくる可能性があるので記憶の片隅に置いておくといいかもしれません。