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総評

楽しい早期が終わったので早々に筆を取ることにする。レイドに何を求めるかは個人に依るだろうが、私の感想ではクルーザー級は”終わってんな”の一言だ。無論悪い意味で。

レイドとは何なのかを考える際に1つ重要な前提を改めて明らかにしておこう。DPSチェックとは何なのか。DPSチェックとはどのような前提で生まれ、それは何を目的にするために存在するのか。

WoWの話をしよう。10-manだか25-manだか40-manだか、参戦人数はいくらでもよいがHoly Trinityを採用してかつ、編成を自由に決められるWoWではレイドボスと相対した時に”タンクヒラで占めればどれだけ時間がかかってもいつかボス倒せるんじゃね?”という発想になるのは至極当然なことである。それを防ぐために、レイドボスは一定時間経つとAAの攻撃力が10倍だかになるバフが付与される設計に黎明期からなっていた。この攻撃力増強バフがBerserkであり、これが昨今時間切れを意味するEnrageの語源である(はず)。

Berserkが起こればタンクヒラ編成でも耐えることができず、ワイプするのが自明である。Berserkまでにボスを倒すために、タンクヒラのみならずDamagerを入れる必要がある、ということはタンクヒラの数は極力最小限に、残りはDamagerにしてEnrageまでにボスを倒し切る──所謂DPSチェックというのが何も考えずにパクったFF14でも採用されているレイドの基本設計であるのは馬の尻に念仏だろう。

だが、DPSチェックから生まれる設計意図を正しく理解している人間はFF14オンリープレイヤーにはいないだろう。
なぜならば、WoWとFF14で戦闘設計がまるで異なるということを知らないからだ。

WoWのDamagerには以下のようなクラスがある。
・単体火力に秀でているが、範囲焼きが弱い
・範囲焼きに秀でているが、単体火力が弱い
これだけで天秤になっているのが分かるだろう。”クソデカ単体ボスしかいないから単体に強いクラスを多くしよう”とか、”ボスは弱めだがADDがめっちゃ出てくるから範囲焼きに強い奴を多くしよう”とか相手毎に編成をチューンしていくような設計にWoWはなっている。

そこから派生すると紫の怪異のように、
・範囲焼きクラスが多いほうが望ましいが、ランタゲAAによる詠唱阻害があるため一概に多くすることが優位にはならず、そういった分散要素も含めてどう編成するべきなのか
・そもそもアホほど厳しいSoft EnrageがあるP2を超えるために、P1からP2移行のタイミングをどう調整するか
・第一複数クラスを完備しているギルドなんてない中、持つカードの中でどう最善構成を叩き出すか
・そもそも自分の装備やビルドをどれだけ変更する猶予があるか
といった要素をツメてDPSチェックあるいはヒールチェックを複合した何かを超えていく。

要は、DPSチェックというのは編成や装備やビルド、回しを変える猶予がある前提のもとに最善行動をツメていくことを楽しむために存在するのである。

FF14においてこれを充足するのは、“絶におけるDPSチェック”しかない。
FF14には装備やビルドを変える遊びはないが、フェーズが分かれている絶では、各フェーズで必要な火力の調整から回しを変える猶予は辛うじてあるからだ。

一方零式はどうか。単純な木人層でDPSチェックが厳しい場合、先述したツメる、チューンするという要素がまるでない。最善とされる装備はXで流れてくるアレだし、最善とされる回しはXで流れてくるアレだし、せいぜい語られるのは”ロール内で強ジョブを選ばない奴はカス”というライトちゃんをふるいにかける程度のものしかない。

お前アナザー・ワールドが続いたら強ジョブ判断できんの?というマジレスはさておき、この内容は木人層のみならず、多少アンタゲになろうが、ADDがどんだけ出ようが変わらない事実である。

なぜならば、FF14の戦闘設計は、先のWoWのDamagerのような天秤にはなっていないからだ。
それを踏まえて私はADDを零式で絶対出してこないと踏んでいたが、愚かにも開発はそれを出してきてしまった。
辺獄3以降ADDという概念もないまま、各ジョブは”対単体rDPSを均す”方向性で調整が続いていた。7.2で範囲調整が入ったものの、それで範囲火力がちゃんと横並びになっているかと言われると例のアレを見てもNOの一言だろう。

であれば、FF14の各ジョブには”単体火力がそれなりに横並びで、範囲火力に差がある”という要素しかない。
これは天秤にはならず、チューンできる余地があることを意味しない。
そんな中突然にADDを含んだコンテンツを投下されようが、結局のところ最善のジョブ編成も回しも一意のところに絞られるわけで、それを体現するのが”零式”というコンテンツなのだ。

つまり零式におけるDPSチェックにはチューンする楽しさという本来の目的が消失している。では、何が残ったのか。零式におけるDPSチェックとは、ただギミックゲーを補強する意味合いしかない、と私は見ている。

無論そもそも最善回しを理解していないとか、手が止まるとかいうプレイヤーの足切りという意味はあるが、そんな浅瀬のことは一端無視しよう。当たり前の話だが、DPSチェックが厳しければ厳しいほどオシャレデバフや衰弱が許されない。それは究極を言うと”ギミックを誰かが1回ミスったら終わりです”というギミック処理の要求精度を増させているだけだ。

それ自体は致命的ではない。問題は“それでやらされるギミックが面白いかどうか”に派生するのだが、今回の零式はどうか。新規性のある斬新なギミックあったか?と聞くだけで結論が出るだろう。重ねていうが、私は”終わってんな”としか言えない。

煉獄にあった概念支配。そこでやらされる処理は大分簡潔なものだったが発展の余地があった他にないギミックだった。天獄のカロリックセオリー。余分な移動を許容しないという斬新な設計。他にも小人化されたりツールに出てこないらしい謎のゲージと魔法陣があれこれするやつとか、今考えると大分頑張っていた。

で、4層後半のアレを見てどう思うか?分割しているフィールドが新規性ですなんて言う人間はここにはいないと信じているが、あんなフィールドは14年前にDeathwing戦で見たし、そもそもダイヤウェポンやら極ゾラージャにもあった。入射角によってノックバック方向が変わる天獄2をそのまま持ってきた極ゾラのほうがマシだろうと言うこともできる。つーかWindrunnnerのをそのままパクっただけでしょ

新規性のない択ゲーではあるがテンポが早くフィジカルが求められるという特徴があるのでは?という話もあるだろうが、鼻で笑い飛ばせるような内容である。”フィジカル”というものが何を指すのかはさておき、ただスピードが早い択ゲーのことをフィジカルと呼ぶなと言いたい。これはFF14の戦闘のベースとなっているサーバ負荷に直結する話になるが、ご存知の通りFF14の戦闘はサーバに負荷を極力掛けないためか、Server Tickは3秒毎というガバガバ具合だし、技の判定がブレッブレで見た目とまるで合致しないSnapshotゲーである。

しかし、我々にはその反例としてバハの天地があることを忘れてはいけない。初めての絶という高難易度コンテンツだから……とやる気があったのかは分からないが、天地のピザカットは割と見た目通りの判定をしていた。これはやろうと思えばそういう設計ができるということでもあるのだが、ご認識の通り天地以降そういったやる気のある見た目をしているものは一切ない。フィジカルゲーにしたいのであれば、そういったまともにサーバ処理させてるギミックを1つは持って来いやというのが率直な感想である。後に残ったのはただターボしているだけのいつもの床ゲーミングである。これがいいレイドなのか?私は否だと思う。だいたい雑に2~4層でADD出してきているのは、私には”もうADDなしでギミック考えられませ~ん”という開発の敗北宣言にしか捉えられないわけだが。

ということで極めて残念な印象を改めて開発に持った次第である。
私はFF14であるべき零式の姿というのは、DPSチェックを極力緩くして煉獄天獄のような新規性のあるギミックを拵えるものだと考えていた。そしてそれは実現されなかった。今回分かったのは兎に角DPSチェックというものが何なのか、それをどのように捉えるべきかという観点で開発が何も考えていないことだろう。

つまり天獄でDPSチェックが緩かったのはあくまで煉獄でやらかした反動だし、LH級でDPSチェックが緩かったのはあくまで拡張最初の零式だからだし、クルーザー級でDPSチェックが厳しいのは開発がそうしたほうがやりごたえがあると適当に考えてるからということが露呈しただけに過ぎない。煉獄4のどっかの誰かの言い訳でDPS激キツイのがやりごたえがどうのこうのと書いてたのが明瞭に思い出せる。DPSチェックが厳しいことがやりごたえに直結すると思い込んでいる時点で、冒頭に書いたWoWの本来のあるべきDPSチェックの姿なんぞ知りもしないのがバレバレだ。

そして改めて確信を持ったことだが、アナザー・ワールドなどあり得ない。
DPSチェックが緩いLH級までの流れが継続するのであれば、ぉgなんぞ潰えても特段問題はなかったわけだが、そんなキレイな世界線自体をやはり開発は望んでいないようだ。

これが歪みなのか迷走なのか。私には知る由もない。

<2025/4/3 追記>
一番大事なことを書き忘れていた。なんで零式のドピュスチェックでこんな辛辣な物言いをしているのかと言うと、それが結局開発の首を自ら締める行為だからだ。

値の見えないアナザー・ワールドが最もあるべき世界線ではあるが、そうでなくともドピュスチェックを緩く、ただギミックをこなすだけのゲームにしたほうが値を均すだけのジョブ調整に苦慮する必要性が薄くなる

そういう世界線がなくなった以上、今後のパッチで来る調整はジョブバランスを均すという名目での細々としたダメージの調整だけだろうし、そういった方向性が深刻な影響を与えるのは拡張を跨いだ時だろう。
要はドピュスチェックを前提としたゲームであるならば、バランスを調整するプライオリティが高いために拡張が来たとしても革新的な戦闘メカニクスの変更なぞ望むべくもないということだ。このまま8.0でどうなるかを予測すると、各ジョブの技が2,3個増えて終わるというある意味では今まで通りの、やる気のない未来しか見えないという意味も踏まえて残念だと評している次第だ。

大体、Holy TrinityのDPSチェックという概念は最早前時代的すぎる。
そもそもDPSチェックと戦闘メカニクスおよびジョブ毎のバランスを適切に調整することなぞ、ブリザードにはできるだろうがスクエニにできるかというと眉唾の一言だ。であればDPSチェックを緩めにしてギミックゲーに落とし込むというのがFF14が取るべき妥当な設計方針だと思っており、天獄やLHはその方向性に舵を取っていたわけだが、ここに来て再度愚かな方向に向かったのは”なんで?”と思わざるを得ない。