“多対多のゲームでPremade組んだ時になんかこう上手くいかん”
“そりゃあ、ドクトリンという概念を持っていないからだろう”
Premadeとは広義では2人以上の身内で固めて多対多のゲームをやることを指すだろうが、本稿では”味方が身内で充足するもの”を指すこととする。つまり3人 * 20チームのApexでは3人丸々身内、5対5のLoLやらValorantやらでは5人丸々身内、言うなればフルパを想定する。そういった状況で戦う上で重要となる概念ことドクトリンについて話そう。なお本稿で語るドクトリンとは、戦闘ドクトリンこと戦闘教義のことを指すものとする。
ドクトリンとはgoogle様によれば”作戦・戦闘における軍隊部隊の基本的な運用思想”らしいが、“戦略/戦術を共通知識とする形式知”が最も分かりやすい表現だと思う。良いドクトリンの筆頭例はギリシャのファランクスだろう。”各々が盾と長槍持って並んで立っとれ”という共通知識を以ってあの最強布陣が構成される。
ゲームにおいて分かりやすいドクトリンといえば、WoWのHoly Trinityだ。FF14のはなんか垣根が曖昧になっているのでWoWのを例に出したほうが正確だろうが、
・タンクは敵のタゲを取り、耐える
・ヒラは回復する
・ダメージャーはダメージを出す
これはドクトリンである。これらの”戦うための前提”がプレイヤーの共通知になっているからこそ、敵が来たらまずタンクが敵のタゲを取り、DDがダメージを出し、ヒラがヒールするという当たり前の戦闘が成り立つ。
では違う例を出そう。次はFF14である。
・誰かが死んだら、まず占星が蘇生し、次いでBHが蘇生する。
・牽制はまずD1が撃ち、次いでD2が撃つ。
・リプはまずMTが撃ち、次いでSTが撃つ。
これもドクトリンである。実戦では逆がいい場合もあるとかいう細かい話はさておき、先のHoly TrinityはWoW/FF14プレイヤーであれば誰でも知っているようなゲームシステムとして提示されている共通知識なのに対して、こっちのドクトリンは“スキル回しが固まっていない段階でも、スキル被りを極力減らしたい”と考えられる人間しか分からないような共通知識である。つまり万人が理解しているわけではないちょっと高みを目指してる人にしか見えないドクトリンだと言うことができる。
こういったドクトリンをどれだけ整備できるか、というのが多対多のフルパPvPないしPvEでは凄く重要だ。
例えばDotaにおいて、Pos 1が典型的序盤に超弱く終盤に超強いTrue Late Carryであるならば他のメンバーとしては”Pos 1がスケーリングできるように穏やかな、劣勢になっても粘りのある長期戦を見据えたマクロ展開を行う”のは当然のことだろう。序盤にPos 1以外の4人が結託してハイリスク・ハイリターンの民族大移動ハイプレスをかますなんてことは一般的に行うべきではない。この例だと”Pos 1はFarmをしろ、それ以外は徹底的にPos 1をカバーして粘れ”というのが1つのドクトリンとしてメンバー間で認識が合うことが、正しく多対多のゲームをプレイするということに繋がる。
ゲームごとにこんな例を挙げだしたらキリがないわけだが、1つ重要な指針としては、“Premade内での著しいマクロの認識齟齬が起こった場合は、本来策定しておくべきのドクトリンがない可能性が高い”ということだ。全員でのオール・インで1秒遅れた奴がいるとかマクロ的に軽微なものは置いておいて、全員で固まって動くべき場面で1人だけ大お花畑を摘みに行ってる奴がいるのであれば、そのゲームで望まれていることに対しての戦略・戦術がメンバー内で共有されていない、或いは共有するための知識が言語化されていない可能性が高いと考えられる。無論共有したのに知性が付いていってない奴がいるとかもある
“俺達は雰囲気でゲームをやっている”派閥を自称するのであればそういうゲームの遊び方も一興であろうが、h2h以上の多人数が関わるゲームではこのようなドクトリンを整備し、”集団として一意の意思決定に収束させる”ことを試みるべきである。多対多のゲームの真の面白さというのは、その向こうにあるのだから。